同棲のルールは、項目を並べることより決め方の手順のほうが大事です。片方が作った表は守られませんし、話し合いの入り口を間違えると、決める前に喧嘩になります。
この記事では、先に決めておきたい12項目と、揉めずに決めるための5つの手順をまとめます。
そもそも、決めた方がいいのか
LIFULL HOME'Sが同棲経験者481人に聞いた調査では、同棲開始時にルールを作った人の内訳は「お金の使い方」26.4%、「家事分担の仕方」24.7%、「月々の支払い担当」20.4%でした。すでに多くの人が何かしら決めています。
一方で、決めたルールの遵守状況は「すべてルール通り」19.1%、「まあルール通り」56.1%、「まったくルール通りにならなかった」11.0%でした。
決めれば約75%はある程度守られます。ただし1割強は完全に機能しません。差を分けるのは、項目の数ではなく決め方です。
先に決めておく12項目
AlbaLinkの調査(同棲経験者500人)で揉め事の上位に来たのは、家事分担33.2%、生活リズムの違い15.0%、家事のやり方14.8%、生活費の負担・管理14.4%でした。LIFULL HOME'Sの調査(設問は「揉め事」ではなく「同棲して大変だったこと」)では、「自分の時間の確保」が24.3%で1位でした。喧嘩になっているものと、言わずに我慢しているものは別だということです。
この2つの調査で上位に来た領域から、住み始める前に決めておくと効果が大きい12項目を挙げます。
家事(3項目)
- 料理と食器洗いをどう分けるか/最も頻度が高く、最も揉めます
- 使った食器をいつまでに片付けるか/「なるべく早く」の感覚は人によって半日以上ずれます
- 担当の家事ができなかった日をどうするか/ここを決めておかないと、できない日が毎回小さな事件になります
片付けと清潔(2項目)
- リビングに物を出しっぱなしにしていい範囲/共有スペースの基準は最もズレます
- 風呂・トイレ・洗面台の掃除頻度/汚れが気になる閾値の違いは、片方の我慢に変わります
生活リズムと音(2項目)
- 相手が寝ている時間に何をしていいか/音の問題は蓄積してから爆発します
- 就寝・起床の時間を合わせるかどうか/合わせない選択も、決めてあれば問題になりません
お金(3項目)
- 家賃と光熱費の分け方/折半・収入割合・費目分担のどれか
- 共同の財布を作るかどうか/作らない選択もありますが、決めておく必要はあります
- いくらから相談してほしいか/「勝手に買った」を防ぐには、金額を数字で決めるしかありません
ひとりの時間と来客(2項目)
- ひとりで過ごす時間をどのくらい確保するか/同棲して大変だったことの1位です
- 友人を家に呼ぶ時のルール/事前の共有範囲を決めておきます
この12項目でも多いと感じるなら、1・3・8・10・11の5つから始めてください。守れない約束が並んでいる状態は、何も決めていない状態より関係を悪くします。
揉めずに決める5つの手順
手順1:住む前に、日常の話として持ち出す
「ちゃんと話し合おう」と切り出すと、相手は身構えます。物件を探している時期が一番自然です。間取りや家賃の話をしている流れなら、生活費の分け方も家事の話も、事務的な確認として扱えます。
すでに住み始めている場合は、揉めた直後を避けてください。落ち着いている時に「今のうちに決めておこうか」と持ち出すほうが通ります。
手順2:それぞれが別々に考えてから見せ合う
これが最も重要な手順です。一緒に考え始めると、先に発言した方の案が基準になります。後から違う意見を言うと「反対している」形になり、話がこじれます。
12項目それぞれについて、ふたりが別々に自分の希望を書きます。書き終わってから見せ合います。同じだった項目は、そのまま決定です。違った項目だけ話します。
この方法だと、たいてい半分以上は一致します。話す量が半分以下になるのが最大の利点です。
手順3:違った項目は「どちらが正しいか」を決めない
違いが出た時、どちらの基準が正しいかを争っても答えは出ません。掃除の頻度に正解はないからです。
代わりに、次の3つのどれかを選びます。
- 間を取る/週1回と毎日なら、週2〜3回にする
- 気になる方が多くやる/基準が高い方が担当し、代わりに別の家事を減らす
- 場所で分ける/共有スペースは高い基準、個人スペースは各自の自由にする
不公平に見えますが、基準が高い方は、やらないと自分がつらいという事情があります。その代わり別の負担を減らせば、総量は釣り合います。無理に同じ基準に合わせるより長続きします。
手順4:主語と期限を入れて文章にする
決まった内容は、必ず文章にします。頭の中の合意は、1か月で別のものになります。
| ×よくない書き方 | ○書き直した形 |
|---|---|
| お互い協力して家事をやる | 料理をしなかった方が、その日のうちに食器を洗う |
| 生活費は公平に負担する | 家賃は手取り収入の割合で分け、年1回見直す |
| 高い買い物は相談する | 1回3万円以上の買い物は、買う前に相談する |
| 夜は静かにする | 0時以降は、テレビと通話はイヤホンを使う |
| できるだけ早く帰る | 20時を過ぎる日は、19時までに連絡する |
手順5:守れなかった時の扱いと、見直す日を決める
ルールを作る作業の最後に、必ずこの2つを足してください。これがないルールは、そのまま喧嘩の材料になります。
できない日は、その日のうちに一言伝えます。伝えた場合は相手が代わりにやり、埋め合わせは不要です。黙って放置した場合だけ、別の家事で1回埋め合わせます。
月に1回、決めたことを一緒に読み返します。合わなくなったものはその場で変えます。変えたいと言うことは、責めることではありません。
決める時にやりがちな失敗
片方が主導して作る
リンナイが既婚男女1,000人に行った調査では、家事分担について「夫婦で話し合っている」と答えた人は47%で、調査した10項目の中で最も低い数字でした。多くの家庭で、話し合わないまま分担が決まっています。
そして同じ調査で、分担の割合について男性の65%・女性の80%が「妻が6割以上」と回答し、認識そのものがずれていました。片方が決めたルールは、もう片方には守る理由がありません。
ペナルティを先に決める
「守れなかったら罰金」のような形は、短期的には効きますが、言いにくいことを黙る方向に働きます。できない日を申告しにくくなると、結果として発覚が遅れて余計に揉めます。
先に決めるべきは、ペナルティではなく「伝えれば免除」のほうです。
細かく決めすぎる
項目が増えるほど、管理そのものが負担になります。守れないルールが3つ以上並んだ時点で、リスト全体が無視されるようになります。
「これが決まっていないと、来月喧嘩になりそうか?」で判断してください。ならないものは決めなくていいです。
まとめ
- 決めておく価値が高いのは、家事3・片付け2・生活リズム2・お金3・ひとりの時間2の計12項目
- 手順の要は「別々に考えてから見せ合う」。一致した項目は話す必要がなくなる
- 違いが出たら、正しさを争わず「間を取る/気になる方がやる/場所で分ける」から選ぶ
- 文章にする時は主語と期限を必ず入れる
- 最後に「できなかった日の扱い」と「見直す日」を足す